ファンフレットについて Lowden WL-35 FF

Fanfretについて

ファンフレットとはフレットを扇状に配置するフレッティングシステムのことで、各弦の弦長が異なり、ブリッジ・サドルも大きく傾斜します。
画像のLowden WL-35 FFの弦長は6弦650mm、1弦610mmとなっており、この弦長の差が大きければ大きいほどファンフレットの角度は大きくなり、逆に弦長の差が小さいほどファンフレットの角度は小さくなります。

この弦長の差ですが、弦が太くなるにつれて弦長を長くすることにより音響面でも効果があり、特にチューニングダウンした時に厚みある低音、かつハリのある力強いサウンドを生むことができます。これはグランドピアノやハープと同じ原理です。その弦長に合わせて適正な位置にフレットを配置するとこのように扇状となるのです。

Lowdenのファンフレットは6フレットを中心としてますが、製作者により「何フレットを中心とするか?」は異なり、何フレットを中心にするかで弾き心地に違いが出ます、例えば10フレットを中心とした場合、ローポジションの角度が大きくなり、親指で6弦を押さえる方にとっては窮屈になります。3Fを中心とした場合にはローポジションでの角度は小さいですが、ハイポジションでの角度が大きくなり、ブリッジ・サドルの傾斜もさらに大きくなります。一般的には5フレット〜8フレットを中心とすることが多いでしょう。

各弦の弦長については基準はなく、例えば1弦を645mm(OMスケール)とし、6弦をバリトンギターに近い666mmスケールするなど様々です。

その弦長に合わせて、フレット位置やナットやサドル含め高い精度が求められるこのシステム、精度が低いと効果はさほど実感できず、逆に高い精度で作り上げたギターのサウンドは従来のギターでは体感できないほど素晴らしい音色を生み出します。それはピッチが驚くほど正確であり、6弦から1弦すべてが『調和』します。このハーモニーが生み出すサウンドはそれまでに聴いたことのない美しいトーンが+αされます。弾き手・聴き手によりピッチの感じ方、好みは微妙に異なるものですが、調和したギターのサウンドは誰もが美しいと感じるでしょう。レコーディング用のギターとしても最高のアイテムになるかもしれません。

ファンフレットは海外ギターメーカーやルシアーギターで製作されることも増え、珍しい物ではなくなってきましたが、日本国内では製作者が少なく、まだまだ普及してないのが現状です。当店ではこのLowdenの他に、ルシアー西
恵介
Keystoneが昨年ファンフレットギターを製作し、それはとてつもなく素晴らしいサウンドでした。

もっと多くの方にこの威力を知っていただきたいと思い記事にしましたが、ここでは説明できないほど奥深いファンフレット仕様でありますので、最後にもうひとつ。
決して弾きにくい仕様ではありません、実際に弾いてみると意外と違和感なくさらっと弾けるもんです。ポジションによってはフレットの傾斜と指の向きがピッタリ合うなど、新しい発見も多いかと思います。ぜひ体感されてみてください。

Lowden WL-35 FF詳細ページはこちら

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