MASA SUMIDE ・House Of Hits・CD(2005年)
軽快に飛ばす1曲目、西城秀樹のヒット曲(もんたよしのり作曲)「ギャランドゥ」やスティービー・ワンダーが73年に発表した永遠の名曲「You Are The Sunshine Of My Life」、ポインター・シスターズの「Neutron Dance」、凝りに凝ったアレンジを(そうとは感じさせずに)さりげなく披露するホール&オーツのヒット曲「I Can't Go For That」など、アップテンポの作品での住出さんのプレイは、本当に素晴しい。
切れ味スルドく、爽快感があり、聴いていてとても気持ちよいのだ。けれども、彼の本領発揮、他の追従を許さない魅力は「スローな作品にこそ表れている」と声を大にして申し上げたい。
スタンダード・チューニングによる「Sweet Memories」や「見上げてごらん夜の星を」、DADGADチューニングの「ワインレッドの心」や「Michelle」そしてDADGBbDチューニングの「悲しい色やね」といったスロー・ナンバーでのギター・プレイは、見事としか言いようがない。
それは、各オリジナル作品の魅力を充分に理解し、それぞれのメロディの素晴らしさを際立たせた彼自身のフィンガースタイル・ギター・アレンジが優れているという事も大きく起因しているのだけれど、それを実際に「歌心あふれるプレイ」に昇華し得ているのは彼の図抜けた演奏能力の高さがあればこそ、なのだ。
ギター・インストを聴いている、というよりもオリジナル曲の歌詞1行1行を味わっている。そんな気持ちを聴く者に感じさせるギター・プレイ。
それは、まるで一言一句を大切に心を込めて歌うシンガーのように、とても真摯で崇高な響きさえ窺える。
最後に、ボーナス・トラックとして13曲目に収められたヴォーカル作品「あなたの声を聞いた夜」での丸山ももたろうさんの間奏ソロ・ギターも聴きものである事を書き添えておこう。